社稷を思う心
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【正論】埼玉大学教授 長谷川三千子 少子化問題の重さを真剣に考える
≪子供が3歳になるまで≫ 時代が変はつて、旧来の常識がうすれ始めてきたとは言つても、まだそれは死に絶えてしまつたわけではない。たとへば一昨年の統計では、若い女性の9割が結婚したいと願つてをり、その内の8割5分が、2人かそれ以上の子供を持ちたいと希望してゐるといふ。これ自体、まことに健全な願望である。ところがいまの世の中では、厚生労働大臣がこれを「健全」だと言つただけで袋叩(だた)きにあふといつたありさまなのである。 さすがに、少子化対策の中心である「子どもと家族を応援する日本」重点戦略検討会議では、かうした若い世代の健全な常識を尊重しようといふ姿勢が多少なりとも見られて、先日の中間報告は、少子化の原因は産みたいのに産めないといふ「希望と実態の乖離(かいり)」にあると分析してゐる。ところが、ではそれをどう解決すべきかといふ話になると、たちまち女性の仕事と子育てを両立させられる社会へと変革しなければならぬといふ、実態をはなれた処方箋(せん)が持ち出されてくる。 実際には「今後子どもが欲しいと考えている女性」のうち約8・4割が、子供が3歳になるまでは常勤で働きたくないと考へてゐるのである。つまり彼女たちが求めてゐるのは、保育所や社内託児所の充実ではなくて、むしろ2人の子供を産み育ててゐる5、6年の間、一家が安心して暮らせるだけの賃金を夫が得られることの保証なのである。また事実、さうした保証を得ることのできない非正規雇用の若い男性の結婚意欲と結婚率はきはめて低い。そもそも子供を産むといふことは、それだけでも女性の身体にたいへんな負担のかかる大事業なのであつて、その時期も外で常勤の働きをせよといふのは酷な話である。統計にあらはれた若い男女のかうした選択は、きはめて合理的かつ自然なものであると言ふべきであらう。 ≪時計針の歩みを遅く≫ ところが、かうした事実は重点戦略検討会議の中間報告にはまつたく反映されてゐない。実は私自身、この会議の分科会の一つに参加してゐたのであるが、そこでも、このやうな問題はほとんど完全に素通りされ、ただ「ワーク・ライフ・バランス」なる標語が連呼されるだけであつた。 その中で敢へて、いまここに指摘したやうな事柄について発言したところ、朝日新聞が早速それを取り上げて「時計の針戻す委員主張」といふ見出しをつけてくれた。なるほど、いまの少子化対策に求められてゐるのは、地球環境対策と同じく、われわれの文明の暴走を抑へ、時計の針の歩みを(戻すまではゆかずとも)少しでもおしとどめることであらう。少なくとも、いま若い人々の内に残ってゐる常識を叩きつぶすやうなことだけはしてはなるまい。(はせがわ みちこ)
さすが正論である。子供を産み育てることを健全ということが叩かれる社会。2人の子供を産み育ててゐる5、6年の間、一家が安心して暮らせるだけの賃金を夫が得られることの保証のない社会。 正常化運動・大変革を開始せねばなるまい。 せと弘幸演説「ワーキングプアを無くそう!」 せと弘幸演説集 人気blogランキングへ PR
教えてください
まさにその通りですね。3歳までべったべたに育てないといけないと思います。正社員になれないというところが私はよくわかっていないです。私が就職したとき氷河期なんて言われていましたが、みんな正社員になっていましたし、最近でも普通に転職している話など聞きます。きつい考えかもしれませんが、成果をあげていないのに給料をあげてという人がいるのは、おかしくないかなと思ったのです。経済お花畑(?)の私に、教えて頂けるとありがたいです。
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